法人スキーム(1物件1法人)とは?銀行から一括返済のリスクがあり!

法人スキーム(1物件1法人)とは?銀行から一括返済のリスクがあり!

もふもふ不動産のもふです。2014年から不動産投資を行ってきており、いままで1棟アパート、1棟マンション、テナントビルや戸建てなどを購入して経営してきました。

不動産投資の世界にはさまざまな「スキーム」がありますが、その中でもとりわけ影響が大きいのが多法人スキームです。物件ごとに異なる法人を設立して異なる銀行から融資を受け、銀行には「1棟も物件を持っていない」ふりをして融資を受ける——これを繰り返して規模を急拡大する手法で、2015年あたりから急速に広まりました(僕はこの手法を使っていません。1法人で正攻法で買い進めています)。

他に不動産を持っていることを銀行に隠しているため、発覚すると融資の一括返済を求められるリスクがあります。実際に執筆当時(2019年)、銀行に発覚して融資がストップしたり一括返済を求められる問題が発生し始めていました。この記事では、多法人スキームの概要と問題点を詳しく解説します。

多法人スキームとは?どんなメリットがあるのか?

多法人スキームを図示すると下記のようになります。銀行A・B・Cは全く別の銀行です。

多法人スキームの図
多法人スキームとは、物件ごとに異なる法人で異なる銀行で融資を受けて買い進める手法
  • まず法人Aを設立し、物件Aを銀行Aの融資で購入
  • 次に法人Bを設立し、物件Bを銀行Bで購入。銀行Bには法人Aを隠す
  • 次に法人Cを設立し、物件Cを銀行Cで購入。銀行Cには法人A・Bを隠す

これを繰り返す方法です。法人A・B・Cは紐づいていないので、他行で融資を受けて物件を買っていることを銀行に隠すことができてしまっていました。その盲点を悪用したのです。

多法人スキームのメリット:法人で購入できる

1棟目はサラリーマンの属性を使えるので物件を購入しやすい——その仕組みを悪用して、常に「1棟目」のふりをして融資を受けて物件を買いまくるのです。個人で買うと属性の上限があり融資は数億円で止まりますが、法人で買えば個人の枠を超えて買い進められます。さらに他の物件を隠しているので、信用を毀損せずに急激に物件数を増やせてしまいます。

消費税還付ができ、不動産を買えばお金が増えていく

法人で購入することで、消費税還付の手法も使えました。建物には消費税がかかるので、物件購入時に消費税を支払っています。法人で課税事業者になり特殊な手順を踏むと、この支払った消費税を還付できたのです(※この還付スキームは2020年度税制改正で居住用賃貸建物が仕入税額控除の対象外となり、現在は封じられています。詳しくは消費税の仕組みの解説記事へ)。

この消費税還付とオーバーローンを絡めることで、不動産を買えば買うほど手元に現金が残っていくという驚くべき手法となっており、一気にサラリーマンに広がりました。

デメリットは?銀行に発覚すると、一括返済を求められる可能性

銀行から一括返済を求められるリスクがある

問題は、銀行に法人や不動産を隠していることです。2019年2月22日、多法人スキームが発覚した債務者にりそな銀行が一括返済か金利6%への引き上げを求めていると楽待が報道しました。

「私の知人は昨年末ごろにりそな銀行から呼び出され、一括返済するか金利を6%に引き上げるか求められたそうです」

かつて東海地方の地銀に勤務していた楽待コラムニストのアンダーズさんはそう明かす。「その知人は自宅の住所を本社所在地、奥さんを代表者にして複数法人で融資を受けていました。このスキームは業者から勧められて手を出したらしいんですが、利回り6、7%ほどで掴んでいるので、金利6%だったら運営不可能。結局、全ての収益物件を売却せざるを得なくなり、トータルで2000万円ほどの赤字になったようです」

このほかにも、りそな銀行側から対応を求められたという情報は複数聞かれる。

千葉県在住のAさん(50代男性)は「知人が1法人1物件スキームで5法人以上・20億程度まで規模を拡大していたんですが、それが発覚してりそな銀行に呼び出された。ある物件の土地決済が終わった後で、建物融資を拒否され、返済か土地の売却を迫られた結果、仕方なく土地を売却したそうです」と話した。

りそな銀行が1法人1物件スキームに鉄槌か-楽待

このように、他の法人を隠して融資を受けていたことが発覚した場合、かなり厳しい制裁が科せられる可能性があります。。(参考:1法人1物件スキームという「禁断の果実」の歪み・楽待)

アパート建築で、銀行から融資を途中でストップ

2019年3月4日には、1法人1物件スキームを使ったサラリーマンが建築中の新築アパートの融資をストップされたと朝日新聞が報道しました。

報道記事不動産投資で過剰な借り入れに走る個人投資家に対し、金融機関が牽制(けんせい)する動きを強めている。他からの借り入れを隠して複数の金融機関で多額の融資を引き出した投資家に返済を求めるケースも出てきた。

大手銀行などが問題視しているのは、「1法人1物件スキーム」と呼ばれている手法だ。多くの物件に投資する際、個人では借り入れに限度があるが、投資のたびに別会社を設立し、多額の融資を引き出す。実態は個人なのに多数社への別々の融資に見せかける。

首都圏の30代男性会社員は、2017年以降の2年間で中古マンションや新築アパートを十数棟購入し、借金は計20億円台半ばに及ぶ。借入先は大手行や地銀、ネット銀、信金など多数で、設立した合同会社は15社超。だが、建築中のアパートに融資する予定の大手行から突然「融資中止」を通告され、今は金策に追われているという。

会社員が不動産ローン20億円、突然の「融資中止」通告– 朝日新聞より

新築アパートの融資は何回かに分けて実行されます。途中でストップされると、購入者はもちろん建築業者さんも困る大問題です。「物件を全く持っていない」前提で審査したのに、実際は20億円以上の借金があると発覚すれば、これ以上貸せないと銀行が判断するのは当然でしょう。銀行は信頼関係を重視するので、法人や不動産を隠していたとなると、その信頼が崩れてしまうのです。

良くない物件を買い進めている可能性がある

多法人スキームは短期間で一気に買い進めるため、市場より割高で購入していた人も多いと思います。特に2017年頃は物件価格がピークだったので、高値掴みの可能性があります。そして2018年にかぼちゃの馬車問題で銀行融資が一気に閉まり、収益不動産の価格は下落。残債以下でしか売れない状態の人もいるはずです。さらに消費税還付をしている場合、売却すると消費税を支払わなければならなくなります。。そんな状態で一括返済を求められたら…とても厳しい状態だと思います。

もし法人スキームの物件を保有されていたら…

もし多法人スキームや書き上げ(売買価格の水増し)などの不正融資で物件を保有されているのでしたら、問題が発覚する前に早めに売却するのも作戦だと思います。ローンの残りより高く売れるなら思わぬ資産になりますし、逆に残債より高く売れないなら、一括返済を求められたときに大きなリスクになります。

売却も選択肢の一つ

まず、ご自身の物件がいくらくらいなのかを知るために、査定に出すことをお勧めします。高く売れそうなら売ればいいですし、売らなくても自分の物件の売却価格を把握しておくことはとても大切です。

まとめ

執筆当時、各銀行がいろいろな手法で多法人スキームの利用者を調べているという情報もチラホラ聞こえてきていました。もしそういう不正融資で物件を取得されているのでしたら、事前に対策を検討しておいたほうがいいでしょう。。また当時は「住宅ローンを不動産投資に使うスキーム」も流行していましたが、これも後で問題になる可能性が高いので、十分に注意してくださいね。。

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