大家族大家です。今回は賃貸物件の屋上・屋根の活用方法について考えたいと思います。賃貸マンションの屋上というのは、放っておけばとてもお金がかかる場所です。経年劣化が進み、塗膜が破れたりコーキングが取れたりすれば雨が染み込んで躯体が傷んでしまうので、屋上防水工事等を10〜15年毎に行わなければなりません。
規模や材質によりますが、外壁塗装と合わせれば数百万円単位でかかります。だからといって工事を先延ばしにすると、建物のダメージが大きくなり余計に費用がかかることもあります。私も複数棟所有していますが、毎年何かしら修繕を行なっています。退去後の補修は入居募集のためという急ぐ動機がありますが、外壁塗装や屋上防水はすぐには困らないので、計画しておかないとどんどん先延ばしになってしまいます。気を付けましょう。
このように金食い虫の屋上・屋根ですが、実は活用することで大きな収益を生む可能性があります。私自身、屋上の活用で実際に年間200万円以上の収益を上げており、この記事ではその体験談をわかりやすく解説していきます。
マンション屋上の活用~携帯電話基地局を設置し利回りUP

携帯電話の基地局を設置するのは、主に3大キャリアと呼ばれるMNO(移動体通信業者)のドコモ、KDDI、ソフトバンク、そして2018年から新たにMNOとなった楽天モバイルです。平成30年8月の総務省発表データによると、基地局は全国で約87万基。山間部をカバーする鉄塔タイプ、ビル等に設置するタイプ、より小型のタイプなどがあり、MNOは各エリアの電波カバー状況を考えて新たな設置場所を探しています。
高層ビルが多い街の中心部で4〜5階建ての賃貸マンションに設置されるケースは少なそうですが、住宅街など高層の建物が少ないエリアでは、3階建て程度でも設置されることは多いです。周囲が2階建ての戸建てばかりなら、3階建てのマンションは基地局設置場所の有力候補です。
私はある住宅街に4階建ての賃貸マンションを所有しています。8年ほど前、某キャリアの下請け工事業者さんが自宅に訪ねてきて「このあたりに基地局の設置を検討している。設置料を支払うので屋上に設置させてもらえないか」とのこと。提示された設置料は月額2万円でした。内心ラッキーな話だと思いましたが、まず「どのようなものをどのように設置するのか知りたい」と伝えました。気になったポイントは4点です。
翌週、工事業者さんと一緒に現地調査を行い、1ヶ月後に工事図面を提出してもらいました。このマンションは鉄筋コンクリート造の陸屋根で、防水シートの上に別途シートを敷いて基地局を置くとのこと。屋上のコンクリートに穴を開けると雨漏りの原因になりやすいので、必要最低限の箇所を壁面のみに開け、コーキング等で隙間を埋めます。最低年1回は点検に来てくれて、8年経過した現在でも何も問題は起きていません。
その間、私はすでに基地局を設置しているビルのオーナーさんや業者さんに、周辺住民への影響と設置料の相場をヒアリングしていました。電波の影響については、基地局電波が原因であると断定できる健康被害の実例は見つけられませんでした(感情論で問題にしているケースは聞きました)。世界保健機関(WHO)も「基地局および無線ネットワークからの弱いRF信号が健康への有害な影響を起こすという説得力のある科学的証拠はありません」と結論づけていますし、総務省も電波防護指針を制度化して基地局に関する規則を整備しています。各キャリアは非常に大きな企業なので、問題があればきちんと対処すると感じました。
設置料については、月額2万円でも低くはないが3万円でも相場の範囲内と感じたので、工事業者さんに3万円でキャリアと交渉してもらい、無事了承してもらいました。基地局の設置期間は非常に長く、一度決まると容易に賃料は変えられません。なるべく情報を仕入れ、納得のいく賃料で契約しましょう。
基地局の数はまだまだ増えています(5Gの整備計画も上積みされる方向です)。実はこのマンションには、すでに3社に設置してもらっています。陸屋根でスペースが大きいのが幸いしました。そして3万円で契約したキャリアは、その後3回も増設しています。増設で設備の重量と設置面積が増えるので、それに伴う賃料の値上げがあります。
なんと月額3万円だったのが、増設1回目で5万円、2回目で7万円、3回目で10万円(税別)になりました。年間120万円です。残り2つのキャリアはそれぞれ年間36万円、14万円。このマンションの家賃合計は年間1,500万円ぐらいなのですが、携帯基地局だけで年間170万円も売り上げができてしまいました。
基地局維持のための電気はマンション共用部から引いていますが、想定使用量を計算して賃料と一緒に支払う契約になっており、電気代の単価が上がれば追加で支払ってくれます。さすがに大きい会社さんはこの辺りがしっかりしていますね。
売上だけ見ても大きいのですが、基地局設置で魅力的なのは、オーナー側の投資額がゼロだということです。この物件は運営費(固定資産税・管理費・修繕費等)が年間350万円程度、借入返済が家賃売上の50%とすると750万円なので、税引前の手残りが400万円から570万円にアップしたことになります。今後の基地局需要は右肩上がりなので、知っておくべき内容であることは間違いありません。

マンション屋上の活用~太陽光発電を設置し利回りUP

太陽光発電投資は、不動産投資家であれば取り組んでいる方も多いと思います。固定買取価格は2012年度に10kW未満で42円(10年間)、10kW以上で40円+税(20年間)でしたが、2019年度(執筆当時)ではそれぞれ24〜26円、14円+税に。売電単価は大幅に下がっていますが、普及に伴い必要な投資金額もかなり下がっているので、検討の余地はあると思います。
陸屋根で鉄骨の架台が多く必要になったり、防水工事が余分にかかるケースだと数字は悪くなりがちですが、傾斜屋根だったり、どのみち防水工事をやる予定だったりする場合は、数年前と利回りベースでは変わらなかったりします。設備の性能は向上し、火災保険の料率も下がり、固定買取期間終了後の売電価格も想定できるようになってきました。執筆当時、大手電力会社で7〜9円/kWh、新電力やガス会社は条件付きで10円台前半を提示し始めていました。太陽光パネル自体は劣化はすれども半永久的に発電すると言われており(30年ほど前に発電を開始した香川県の西条太陽光発電所は今も問題なく発電しています)、パワーコンディショナー等の定期的な交換は必要でも、10円前後で売電できるなら充分利益は出そうです。
太陽光発電で売電以外のメリットもあり
太陽光発電設備を屋根に設置すると、最上階のお部屋の温度が安定するというメリットもあります。特に夏の日差しがきつい昼間、屋根裏がなかったり薄かったりすると室温の上昇は顕著で、エアコンの効きも悪くなり入居者さんの電気代も上がります。私も設置後、「暑さが和らいだ」と入居者さんに感謝されたことがありました。
太陽光発電でのデメリットや注意点
デメリットも申し上げておきます。1つ目は屋上防水工事の際の手間が増えること。架台があったり、手の届きにくい場所ができたりします。2つ目は金融機関が資産価値を見てくれないこと。キャッシュフローを充分産むことはわかっても、担保価値はゼロとみなされる場合がほとんどです。太陽光発電は基地局と異なり初期投資が必要ですが、設置可能な物件は多いので、見積もりを取ったうえで判断すればいいと思います。
マンション屋上の活用~広告看板の設置し利回りUP

物件が大通りや線路の近くなど視認性の高い場所にあるなら、広告看板を設置する方法があります。広告会社はネットで検索できますし、物件周辺の空き看板に問い合わせ先が記載されています。
私も幹線道路沿いの物件で問い合わせてみたところ、後日「このエリアに看板を出したがっている会社がある」と連絡がありました。ただし、その会社は葬儀会社。月1〜1.5万円程度いただけるとのことで検討しましたが、入居者さんや入居募集への影響を考慮して見送ることにしました。金額がもっと大きければ迷っていたかもしれません。
看板のサイズや工法によっては建物に負担がかかりすぎるので注意が必要です。ずさんな設置は雨漏りの原因になりますし、大型看板は風の影響が大きいので太い柱も必要です。落下の可能性を考えて、火災保険に付帯する賠償責任保険の金額を大きくする必要もあるかもしれません。設置業者さんの言うことを鵜呑みにせず、いつも建物の修繕をしてもらっている工事業者さんにも立ち会ってもらい、後で問題にならない工事を行うことが必要です。目先の賃料に目が眩むと、思わぬ出費が出かねません。
賃料相場はその立地の広告価値によって大きく左右されます。私の物件のエリアでは月1万円程度からでしたが、優れた立地だと数万円から数十万円のところもあるようです。まずはダメ元で問い合わせてみましょう。

マンション屋上の活用~BBQ運営会社が活用!

住居ではありませんが、雑居ビルの屋上を活用した事例です。私は以前、街の中心部から少し外れたところに古い雑居ビルを所有していましたが、テナントの入居付に自信が持てず売却しました。買主の業者さんは時間をかけて大部分の区画を埋めたのですが、驚いたのは屋上にもテナントを誘致したこと。BBQをお客さんに楽しんでもらうレストランです。調べてみると、他のビルの屋上でも数件運営していました。天候に左右され稼働率が低いぶん賃料も低いようですが、1つの活用事例として頭の片隅に入れておいてもいいと思います。
屋上を入居者さんに開放するという方法も
直接的な収益は産まれませんが、入居者さんに屋上を開放する方法もあります。屋上までの経路と平らな屋根、フェンスの設置が必要で、安全面にも気を配る必要があるのでハードルは高いですが、夏祭りの花火が見える立地なら、日時限定の開放が物件の売りになるかもしれませんね。
マンション屋上の活用方法のまとめ

最後にご紹介したBBQレストランを知ったときには驚きましたが、他にもまだまだ方法はあるのかもしれません。外出中に様々な建物を観察して、屋上がどうなっているかアンテナを張っておくことが大事だと思います。お部屋を貸す以外にも収益物件の活用方法があるということを知っていただければ幸いです。
